アッドゥ環礁ヒタドゥ島ホームステイ記(2001年3月) ◆生活文化編◆ 店の情報/ゴミに関すること/料理/子供の教育、しつけ、英語教育/インテリア/病院/女性のファッション/物価/ヒタドゥの中の日本/アッドゥアトールの言葉 |
ヒタドゥのメインストリートの中程に、Supermartという大きなお店があります。私が行ったときには、閉店していたので、結局入れませんでしたが、いろいろなものが売っていたようでした。テレビやオーディオも売っているのが見えました。
ヒタドゥには、何十件と小さな日用品店がありました。保存食、インドから輸入した卵、馬鈴薯、玉葱、文房具、紙おむつ(パンパースやメリーズもありました。サイズは、SとMのみ(〜10kg)です。)、ちょっと大きな店だと、家具やベビー布団も売っていました。
ヒタドゥのハーバー近くにガソリンスタンドがありましたが、小さな日用品店でもガソリンを置いてあるところもあります。ちなみに、ガン島に警察がいるので、無免許のモルディブ人は、ガン島以外の島だけでバイクや車を運転したりします。
ヒタドゥには、郵便局やオーシャンエアラインのオフィスやBank of Maldivesもありました。レストランも何軒かあります。レストランは、飲み物を注文すると、ヘディカが一皿4つずつ盛りつけてあるものが、何皿かでます。食べただけ後で支払う形式です。ほとんどが、ツナと玉葱を細かくした物が入っている揚げ物です。美味しいです。紅茶と揚げ物4つ食べて、6ルフィヤでした。安いです。
大抵の国ではどこの家庭にもあるけど、Aさん宅にはなかったもの。それはゴミ箱でした。全くどこにもないのです。では、ゴミは一体どこに捨てるのか。それは、部屋の中以外の至る所です。Aさんが持参した飛行機のチケットやらなんやらの紙も、ウンドーリ(インテリアの項目参照)の側や庭にポイポイ。飼っている猫が食べられない生ゴミは、庭の至る所に投げます。歩きながら飴を食べれば、包み紙をその場でハラリと捨てていますし、海岸に泳ぎに行けば、持参した弁当を入れていた紙袋や空き缶もそのままハラリと捨ててしまいます。
昔、輸入品がなく自給自足の生活の頃は、きっとゴミは土に帰るものばかりで、その場で捨てていてもなんの問題もなかったのでしょうが、土に帰らない品が輸入されるようになっても生活習慣がそのままだから、居住区の島がゴミだらけなのではないかと、私は思いました。
暑い国ならではだなあと思ったことがあります。子供がフルーツの欠片をダイニングの床に落とした時、ものすごい剣幕で奥さんのMさんが「早く外へ!遠くに捨ててきてよ!」と子供に叫んでました。(特に「遠くへ」を強調してました)
<写真:ヒタドゥの入り江。写真の左下には、ヘドロとゴミがある・・・けど、よくわからないかな・・・> | |
<写真:ガン島とフェードゥー島をつなぐ橋の付近の海を上空から撮影しました。藻がすごいです。> | |
ヒタドゥの最北端の地図 | |
上の地図の右側の部分 |
モルディブの朝食というのは、いつでもどこでもパンと紅茶(またはコーヒー)とジャムと蜂蜜のようです。まれに目玉焼きがある程度です。Aさん宅でもそうでしたし、マーレのゲストハウスでもそうでした。ディベヒ語で朝食は、hedhunusaiboanといいますが、hedhunuは朝、saiは紅茶、boanは飲むという意味で、本当に紅茶を飲むのが主体な感じです。モルディブ人は、この紅茶に大さじスプーン山盛りの砂糖と粉末のミルクを入れて飲みます。非常に甘ったるいです。
昼や夜には、いろいろバリエーションがあります。
鰹の魚カレーと鶏肉のカレーの二種類、私は食べました。このカレーをご飯と一緒に食べたり、チャパティと一緒に食べたりもします。チャパティの場合は、手で細かくチャパティを裂き、カレーをかけて、手でぐちゃぐちゃに揉みながら混ぜます。
ガルディヤという料理もよくAさん宅で出ました。ご飯にココナツの粉末を混ぜてよく手で混ぜて、鰹のだし汁とライムの絞り汁をかけてさらに混ぜて、最後に唐辛子をちょんちょんとつけます。
また、別バージョンで、アラガルディヤ(ala garudhiya)というのがあります。これは、ご飯が里芋(アラ)に置き換わっただけです。里芋は、形がなくなるまでぐちゃぐちゃに潰すので、時間も力もかかります。
おやつは、鰹とタマネギと香辛料が入った揚げ物です。いろいろ種類はあるのですが、基本的には具の中身は同じようでした。
少々日持ちする保存食として、名前は忘れてしまいましたが、ココナツまたは里芋と砂糖が入っていて、バナナの葉にくるんだ棒状のものがあります。これは、フルレ空港の免税店にも売っていました。これは、単品で食べても非常に美味しいのですが、ココナツ(古いココナツ)と鰹と一緒に食べるともっと美味しいです。免税店では、棒状のものと一緒に、鰹の調理したものとココナツも売っていたので、この三点をセットにして買うといいでしょう。
モルディブの料理について、さらに詳しく知りたい方はこちらのHPへどうぞ。--->Classical Maldivian Cuisine
学校教育は、アラビア語やコーランにも力を入れているのですが、それ以上に英語教育に力を入れているのがうかがえます。ヒタドゥには、Medhuvalu schoolという私立幼稚園があるのですが、そこでもまず英語、英語でした。英語に力を入れるのもいいのですが、ここまで母国語をないがしろにしていいのかと思えるほどでした。小学校の教科書も国語(ディベヒ語)とアラビア語以外は全て英語で書かれた教材でした。子供の個人的な小説も英語の本、ビデオも英語のディズニー映画、子供の落書きも絵の下には英語の説明。何から何まで生活が英語づくしという感じです。
ちなみに、ヒタドゥにはMedhuvaru school(ヒタドゥのメインストリート沿い), Hithadhoo school(ヒタドゥのメインストリートの終点の辺り), secondarily school(ヒタドゥのハーバー近く)があります。他の島の住人もここにスクールバスで通っています。これらの学校は、外国人が飛び込みでいきなり紹介もなしに訪ねて行っても、見学できます。まず、学校のオフィスに行けばよいでしょう。学校関係者は、全員英語が出来ます。
<写真:Hithadhoo school>
AさんとMさん夫妻の家は、Aさんの収入の多いリゾートでの仕事のおかげで、やや裕福な家庭です。結婚後10年してから建てた家は、(それまでは奥さんの実家に住んでいた)部屋が二つありました。一つの部屋は、10〜12畳くらいなのでしょうか。(6畳より広い部屋って住んだことがないから、私にはよくわかりませんが・・・。)
一つは、寝室(nidhaa kotari)で、ベッドとSONY21インチテレビとSONYのビデオデッキと棚(これには子供達の教科書やかばんが入ってます)、モルディブ人サイズの背の低い洋服ダンスがありました。裕福な家にはベッドがありますが、そうでない場合は、堅いマットレス(折り畳みは出来ないもので、アイロン台を布団サイズにした感じのもの)を敷いて、その上に寝ます。
もうひとつは、ダイニングで、大きな長いダイニングテーブルと椅子がありました。この家の椅子は、リゾートの砂浜においてあるあの白い椅子と同じ物でした。そしてその他に、モルディブ人サイズの小さな小さな食器棚、食器を乾かすための棚、冷蔵庫がありました。冷蔵庫があるのは裕福な家だけなので、フリーザーに入れてある、ビニールの中にジュースを入れて凍らせた自家製アイスを近所の人が毎日もらいに来ていました。
この両方の部屋に、それぞれ洋式トイレとシャワーがありました。もちろん、トイレットペーパーのホルダーなどはついていません。そしてなんと、トイレとシャワーのスペースに、ドアがありませんでした。誰かがトイレやシャワーを使っている間は、その部屋に入らないように、気を使ってもらったり、気を使いました。シャワーの蛇口は二つあり、一方は固定式のシャワーの蛇口、もう一方は、長いホースの蛇口です。長いホースからは細くて勢いの良い水が出るので、バスルームの床を掃除するのに、このホースで流すだけで綺麗になります。便器の側に普通の蛇口もあり、これとホースのどちらが、用を足した後の「左手と水」に使うのか、私にはわかりませんでした。
Aさんの家は洋式のバスルームがありましたが、彼のお姉さんの家は、モルディブ式のバスルーム(gifili)でした。これは、井戸の周りを高い塀で囲ってあり、そこで用を足したり、体を洗ったりするわけです。
台所は外の小さな独立した小屋の中にありました。これは、ぱっと見、本当に物置小屋にしか見えませんでした。どこで料理を作るのか、はじめは非常に悩んでました。台所はディベヒ語でbadhigeと言い、「ge」というの言葉は「家」を表すのですが、この言葉が私は前から非常に気になっていました。なぜ、ge(家)?実際にモルディブ式の台所を見て、やっと納得がいきました。
どの家にも、部屋のドアの前に軒下のような場所があり、そこにundhoaliというブランコがあります。ブランコの座る部分が畳一畳弱あり、子供なら体を伸ばして2人くらい、大人なら膝を曲げて一人、横になれます。座るだけなら、大人三人くらい軽いです。風が止んで非常に暑い時でも、このブランコに乗って漕いでいると涼しいです。この場所は、家族がくつろぐ居間としての役割と、客(大抵は親戚だったりするのだが)を通す応接間としての役割があります。いつも家族はこのブランコを中心に生活していて、ここで子供がお昼寝をしたり勉強したり読書したりもします。大人もここで、うたた寝をしたり子供の相手をしたり読書したりします。勉強は、ダイニングのテーブルでもします。
この家庭では、寝室と部屋のドアの前の軒下の壁に、家族の写真がたくさん飾ってありました。
どの部屋も、コンクリート(正確には、そうではなくて、珊瑚で出来ている)の床の上に、ビニール床シートが敷いてあります。土足ではありません。
アッドゥアトールの各島には、診療所があります。その他に、ヒタドゥには大きな入院設備のある病院があります。(つまり、ヒタドゥには、診療所と大病院とふたつあるわけです。)大病院には、日本人の岡田医師が勤務されています。私は、幸いにも体調が良く病院にはお世話になりませんでしたが、アッドゥアトールに滞在するのなら、日本人医師常駐の病院があるというのは、とてもとても安心な事です。(※現在も日本人医師がいるかどうかは未確認)
モルディブのリゾートには、蚊やハエもほとんど薬でいないので、病気に対する心配はありませんが、一般島にはいろいろあります。詳しくは、海外感染症情報のモルディブの項目をご覧下さい。現地の人が予防接種していて、日本ではしていないものに、A型肝炎があります。これは、成田空港でも予防接種を実施しています。私は、たった一週間だったので、この予防接種はしませんでした。
一般島訪問にあたって一番心配なのが、飲料水だと思います。モルディブ旅行では、「現地の人は雨水を飲んでいて、リゾートの部屋でも雨水が用意されているが、決して飲んではならず、必ずミネラルウォーターを買って飲むこと」が常識ですが、私もこの事が一番の問題点でした。結論から言うと、雨水(vaarey fen)を飲んでも私は大丈夫でしたが、もともとお腹は強い方なので、誰にでも勧めることは出来ません。ヒタドゥのお店には、ミネラルウォーターが売っていました。他にも、缶の炭酸飲料水もありましたので、これらを買って飲むのが一番安全でしょう。
食品は、輸入品の保存食はたくさんありました。おむつも紙おむつが売ってるほどです。紙おむつは、日本でもお馴染みのパンパースやメリーズもありましたが、どのメーカーもMサイズ(〜10kg)までしかありませんでした。モルディブの子供達は小柄だからです。
モルディブの食事は、栄養の面から考えると、バランスが悪いです。白米と里芋とバナナで炭水化物は足りているのですが、魚と鶏肉と卵(インドから輸入)は少量なので、タンパク質が少々足りていません。乳製品は粉末状のミルクがあるだけで、これと砂糖をたっぷり入れた紅茶やコーヒーを飲むのが主流です。果物は、各家庭になっているマンゴーやクルンバ(若いココナッツ)やその他日本にはない果物を少々取ります。完全に欠乏しているのが野菜です。少量のタマネギを食しているだけです。野菜が極端に少なく、毎日砂糖をたっぷり入れた紅茶を飲んでいるので、大人は歳がいくほど太っているのですが、この事から予想される通り、モルディブ人の糖尿病は、やはり多いです。
パンジャビードレスに似ているドレスを着ている女性もいます。これは、ワンピースとその下に同じお揃いの生地のズボンをはいているものですが、なかなか魅力的な服です。これは、生地だけがお店に売っていて、自分でドレスを仕立てなくてはなりません。私も滞在中買ってみたかったのですが、既製服はなかったのであきらめました。
そして、ドレスの他に、女の人が老いも若きもしている金のネックレスも、とても素敵でした。本物の金で300ドルくらいするそうで、それも所持金がそんなにもなかったので、あきらめました。この金のネックレスは、これをしていると病気をしないと信じられているために、赤ちゃんでもしているのです。モルディブの青い空と島の緑の中で、モルディブ人があのドレスと共に身につけているのが、とても魅力的です。日本では、宝石や金に全く関心のない私ですが、モルディブ人の金のネックレスとドレスには、非常に心を引きつけられました。そして、モルディブ女性は皆ピアスをしています。女の人は、赤ちゃんの時から、ピアスに金のアクセサリーなのです。
物価(※2006年現在の物価は異なります)
リゾートで働くスタッフの給料は、大体月200-300ドル(チップは含まず)です。物価 も 、普通のレストランに入ると、6−10ルフィヤーくらい。これを日本円に大雑把に 換算すると、月2−3万円の給料で、レストランが100円弱。0をひ とつ付ければ、日本での物価の感じでしょうか。
さて、その感覚で、リゾートでの外国人観光客の金払いが、彼らからみてどのよ
うな感じか、日本の物価で考えて見ます。我々日本人からすると、リゾートでの物価は
、 ちょっと高めに設定されている日本の観光地料金なのですが・・・。 ( )内が実際の値段です。
フルレ空港からマーレへ行くドーニの片道料金が1000円(1ドル)。この間のボートをチャーターすると、1万円(10ドル)。ここで、(ぼられると、20−30ドル取られるけど)、2−3万円で、ぼっていることになります。マーレのホテルが一泊10万円(100ドル)で、ゲストハウスが3万円(30ドル)。
某リゾートでの料金ですが、(私たち日本人は、食事代が含まれていますが)朝食が1
万円(10ドル)、 昼食が1万5千円(15ドル)、夕食が2万円(20ドル)。
アイランドホッピングが5万円(50ドル)、シュノーケリングトリップ1万円(10
ドル)。 輸入品の紅茶は、1箱3千円(3ドル)。ミネラルウォーターが一本3000円(3ドル)。
給仕やベッドメーキングへのチップが、一日当たり1000−2000円(1−2ドル
)。 荷物を運んでもらった時のチップは1000円(1ドル)。 地球の歩き方に、1ドルのチップは彼らには安くはなく、何かしてもらっても、10ド
ル以上は行き過ぎというような 事が書いてありますが、確かに、1000円のチップはいい金額だし、一万円の特別チップ
は上限でしょう。
店を開くのに、500万円(5000ドル)。中古車が1000万円(10000ドル)。マーレでのタ
クシー2000円(2ドル)。 日本からの格安航空券代往復110万円(11万円)。
こうなると、日本人が、ものすごくとてつもない大金持ちに見えます。こんな高いもの をバンバン支払っているんですから。 ヨーロッパ人に至っては、一ヶ月も滞在するのだから、私たち日本人から見ても、もの すごいお金持ちです。
モルディブのリゾート島と首都マーレ以外の島の情報というのは、日本では、ほとんど入手出来ません。私にとっては、一般島は謎に包まれた領域でした。日本からはベールに包まれた未知の世界ですが、アッドゥアトールでは日本は非常に身近な国でした。いたるところに日本があります。
ヒタドゥは長い島なのですが、集落があるのは北の突端のあたりだけで、それ以外はただ一本の長い道路があるだけです。今は、舗装されていませんが、今度日本の援助で舗装されるそうです。発電所もヒタドゥにありましたが、それも日本が作ったもので、日本人が勤務しているとの事。
もちろん、テレビやビデオも日本製、中古車も中古のバイクも日本製ばかり。お馴染みの「ポーン、ポーン、バックします」というトラックの音をヒタドゥで聞いた時には、変な感じがしました。
Aさん宅での鳩の餌が、籾の丸くて短い日本型の米でした。不思議に思っていたのですが、これがなんと、日本政府が一世帯あたり米を15kgずつ寄付していたのでした。でも、日本のお米がモルディブのカレーに合うわけではなく、どの家庭もあまり食べてないようでした。Aさんの奥さんのMさんなどは、ほとんど食べずに、困って(?)鳩の餌にしていたわけで・・・。私たちの貴重な税金がこのように役立っていないのは、非常に残念に思いました。
ヒタドゥには、(特に飲食店を経営している人に)以前リゾートで働いていたという人がたくさんいます。そういうわけで、日本語が片言出来る人が多いのです。
小学校の授業でも、空手があるのだそうです。そのコーチって日本人なのかどうか、聞くのを忘れてしまいました。(※2006年現在、この協力隊員は帰国され、空手の授業はありません)(※2008年現在、再び海外青年協力隊員の空手指導員の募集がありました。また、空手の授業が復活しそうです)
日本製品だらけ、日本の援助はある、日本語でもよく話しかけられる・・・・・。まさかこんなにも、日本に関する事が多いとは思いませんでした。日本から見てヒタドゥは謎に包まれてますが、ヒタドゥから見て日本はとても身近な国でした。
リゾートには、アッドゥアトール出身の人がたくさん働いています。アッドゥアトール出身の人に、その方言で話しかけてみるとうけるかもしれません。
日本語 |
ディベヒ語(マーレの言葉) |
アッドゥアトールの言葉 |
猫 | bulhaa(ブラー) | belhalha(ベララ) |
自転車 | baiskal(バイスカル) | baiskaalaa(バイスカーラー) |
これ(あれ)何? | mi(e) ee kon echcheh?(ミー(エイー)コンエッチェ) | mi(e) kon tha?(ミ(エ)コンタ) |
美味しい | meeru(ミール) | meeri(ミーリ) |
お父さん | bappa(バッパ) | bappaa(バッパー) |
お母さん | manma(マンマ) | manmaa(マンマー) |
鳩 | kotaru(コタル) | kotaraa(コタラー) |
※ mi kon tha?及びe kon tha?以外の単語は、ネイティブのスペルチェックを受けています。